松代地震センター談話会
1965年8月の初めから長野県松代町(現在長野市に合併)を中心として続いた松代群発地震は,地元市町村に直接の被害を与えたばかりでなく,広く長野県北部一帯にわたり,社会的に有形無形の深刻な影響を引き起こした.
この未曽有の群発地震について現地で資料を収集整理し提供するために,松代地震センターが1967年2月松代町にある気象庁地震観測所内に設立された.松代地震センターは,科学技術庁,気象庁,関係機関および長野県で構成された協議体であり,各関係機関から派遣された職員が運営に当たってきたが,主として気象庁が事務運営面を,国立防災科学技術センターが資料収集面を担当している.ここに集められた資料などを活用する研究者は多く,また松代町一帯が一つの研究の場として今日の地震予知研究の推進の基礎となったことは知られるところである.
松代地震センターには,現在,2500余点の観測資料,文献等が収集され今なお新しい資料も蓄えられつつあるが,この利用をはかるため目録等の整備を急いでいるところである.またこれら資料の中から課題を選んで編集し,地震防災対策および研究に資することを計画し鋭意進めているところである.
この「松代群発地震資料(1)松代地震センター談話会記録」はそうした計画のもとに編集されたものである.松代地震センター談話会は昭和42年6月15日に第1回が行われ,昭和45年3月30日まで15回行われた.その内容は録音テープに収録された.また,この間に「松代地震三周年特別講演会」(昭和43年10月5日)が行われたり松代地震センター運営打合せ会で特別な課題について報告された.(「はじめに」より)
談話会一覧
回数 | 実施年月日 | 番 | 題目 | 講演者 | 所属 |
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第1回 | 1967(S42).6.15 | 1 | 加賀井、長礼地区の地すべり調査 | 平田忠雄 | 長野県林務部犀川治山事務所 |
2 | 瀬関地区の地すべり観測調査 | 高野秀夫 | 土木研究所新潟試験所 | ||
3 | 瀬関、竹原地区の地すべり調査 | 望月巧一 | 長野県砂防課 | ||
4 | 皆神山北方地区の地すべり研究 | 杉山隆二 | 信州大学理学部 | ||
5 | 瀬関南地区の地下・水利調査 | 武居由之・黒田和男 | 通産省工業技術院地質調査所 | ||
6 | 牧内地区ボーリングおよび水質調査 | 高橋 博 | 国立防災科学技術センター | ||
第2回 | 1967(S42).9.20 | 1 | 松代盆地付近の崩壊微地形について | 大石道夫 | 国立防災科学技術センター |
2 | ひずみ地震計について | 島 坦 | 地震観測所 | ||
第3回 | 1967(S42).11.1 | 1 | 松代地震に伴う湧水の水質について | 東京都立大学・京大防災研究所・名古屋大学・信州大学・地質調査所国立防災科学技術センター・消防研究所・松代保健所 | |
第4回 | 1967(S42).12.8 | 1 | 松代群発地震における精神衛生相談の結果について | 吉野寿美子 | 松代保健所 |
2 | 松代群発地震に対する入院患者の心理調査について | 清水善次 | 松代病院 | ||
3 | 北信地震地区における精神学的調査 | 川上伸二 | 慶応大学医学部 | ||
4 | 松代高校における情緒テストと血圧および心電図検査成績について | 村山忍三 | 信州大学医学部 | ||
第5回 | 1968(S43).1.25 | 1 | 松代群発地震に伴う測地測量結果について(1)(2) | 田中勇吉 | 国土地理院測地部 |
2 | dg/dzの変化について | 阿部悦夫 | 京都大学理学部 | ||
3 | 第4期の地殻運動について | 小林国夫 | 信州大学理学部 | ||
第6回 | 1968(S43).2.15 | 1 | 松代湧水地域における土壌汚染と水稲の濃度障害について
【写真集】 |
梅村 弘 | 長野県農業試験場 |
2 | 園芸作物中の果実に対する地震の被害と対策について | 田中 謙 | 長野県園芸試験場 | ||
第7回 | 1968(S43).4.26 | 1 | 地震時の水道施設に及ぼす影響について | 武田恆雄 | 長野県企業局水道課 |
2 | 建築物の診断状況と以後の対策並びに指導について | 北島 武 | 長野県建築課 | ||
3 | 県庁舎建築時における地震対策について | 田中淳夫 | 長野県県庁舎建設事務局 | ||
4 | えびの・吉松地区地震の市街地における被害について | 高橋 博 | 国立防災科学技術センター | ||
第8回 | 1968(S43).5.24 | 1 | 千曲川堤防の被害と堤体の振動について | 岩田 均 | 建設省千曲川工事事務所 |
2 | 新潟地震における都市ガスの被害と復旧対策について | 相原奎二(代講) | 北陸ガス株式会社 | ||
3 | 今回の十勝沖地震について(現地報告) | 高橋 博 | 国立防災科学技術センター | ||
第9回 | 1968(S43).6.20 | 1 | 地震による建物の被害について | 大沢 胖 | 東京大学地震研究所 |
第10回 | 1968(S43).7.18 | 1 | 松代群発地震地域地震探査の結果について | 瀬谷 清 | 通産省工業技術院地質調査所 |
第11回 | 1968(S43).10.30 | 1 | 牧内地区農地地辷り調査 | 大平成人 | 農業土木試験場 |
2 | 牧内地辷り地周辺の地下水圧について | 岸本良次郎 | 農業土木試験場 | ||
(3) | ボーリング実施について | ||||
第12回 | 1968(S43).12.9 | 1 | 北信地域における航空磁気測量の成果について | 高木 章雄 | 東北大学理学部 |
(2) | 地下構造についての討論会 | ||||
第13回 | 1969(S44).2.14 | 1 | 皆神山周辺に見られる水稲の根ぐされについて | 梅村 弘 | 長野県農業試験場 |
2 | 藤沢川水系の水稲の根ぐされについて | 宮本 敦 | 長野県農業改良普及所 | ||
3 | 松代周辺における異常湧水の最近の状況について | 高橋 博 | 国立防災科学技術センター | ||
第14回 | 1969(S44).10.14 | 1 | 弘化4年善光寺地震の被害について 【スライド集】 |
竹花峰夫 | 気象庁地震観測所 |
第15回 | 1970(S45).3.13 | 1 | 松代のボーリングと水の圧入について | 高橋 博 | 国立防災科学技術センター |
2 | 水の圧入に伴う地震回数の変化 | 大竹政和 | 東京大学北信微小地震観測所 | ||
3 | 水の圧入と地震観測 | 相原奎二 | 気象庁地震観測所 | ||
4 | 水の圧入による地殻変動 | 高橋 博(代講) | 国土地理院測地部 | ||
5 | ボーリング孔周辺の断層変化 | 恒石幸正 | 東京大学地震研究所 | ||
6 | 水の圧入とひずみ地震計による観測 | 相原奎二 | 気象庁地震観測所 | ||
7 | ボーリング孔周辺の湧水変化 | 相原奎二 | 気象庁地震観測所 | ||
8 | デンバー地震について | 相原奎二 | 気象庁地震観測所 | ||
9 | 地質構造 | 大八木規夫 | 国立防災科学技術センター | ||
10 | 検層とコアの測定について | 高橋 博 | 国立防災科学技術センター | ||
特別寄稿 | 1977(S52).9.1 | 1 | レーザー干渉伸縮計 | 桜井好正・清野昭一・大石忠尚 | 工業技術院計量研究所 |
運営打合 | 1968(S43).10.5 | 1 | 松代地震の概況 | 竹花峰夫 | 気象庁地震観測所 |
2 | 地震予知について | 萩原尊礼 | 東京大学地震研究所 | ||
3 | 松代の地下構造について | 瀬谷 清 | 通産省工業技術院地質調査所 | ||
運営打合 | 1971(S46).5.14 | 1 | サックス氏の歪計について | 末広 重二 | 気象庁地震課 |